物語文は「気持ちの変化」を読む
物語文の問題の多くは、登場人物の気持ちと、その変化をたずねています。ところが、気持ちは「うれしかった」「悲しかった」とはっきり書かれるとはかぎりません。むしろ、行動・表情・会話・情景の中にかくされていることがほとんどです。
だから、物語文はなんとなく読むのではなく、次の四つの手順で読みます。この手順は、どの学校の問題でも使える読み方の土台です。
読み方の四つの手順
- ① 場面を区切る:時(朝→夕方)、場所(教室→帰り道)、登場人物の出入りが変わるところで区切ります。場面が変わると、気持ちも変わることが多いからです。
- ② 気持ちの手がかりに印をつける:気持ちを表す言葉のほかに、次の四つを見つけます。
- 行動:「ドアを強くしめた」→ いかりや不満。「手を止めた」→ 何かに心を動かされた。
- 表情:「目をふせた」→ はずかしさや気まずさ。「口がへの字に曲がった」→ くやしさをこらえている。
- 会話:言ったことだけでなく、「言えなかったこと」や「……」にも気持ちが表れます。「べつに、いいよ。」と言いながらそっぽを向いたなら、言葉より行動のほうに本当の気持ち(不満やさびしさ)が出ています。
- 情景:雨・夕焼け・風などの景色は、気持ちを重ねて表していることがあります。
- ③ 変化の理由をさがす:はじめと終わりで気持ちがちがっていたら、その間に必ず「きっかけ」があります。だれの、どんな言葉や出来事で変わったのかをおさえます。
- ④ 主題をまとめる:「(だれ)が、(きっかけ)によって、(はじめの気持ち)から(終わりの気持ち)へ変わる話」と一文にすると、主題が見えてきます。
例文で手順をためそう
放課後の教室で、ゆいは一人、なわとびのなわをにぎっていた。明日はなわとび大会だ。二重とびが、まだ三回しか続かない。
「いっしょに練習しよう。」
ドアのところに、となりの席のけんが立っていた。ゆいは、なわを後ろにかくした。けれど、けんは何も言わずに、自分のなわを回しはじめた。
校庭に出ると、西の空が赤くそまっていた。ゆいは、なわを前に持ちかえた。
- 場面:「放課後の教室」から「校庭」へ。ここが区切りです。
- 手がかり:なわを「後ろにかくした」(行動)→ できないところを見られたくない気持ち。なわを「前に持ちかえた」(行動)→ もう一度ちょうせんしようという気持ち。
- きっかけ:けんが「何も言わずに」自分も練習を始めたこと。はげましの言葉より、そばにいてくれたことが心を動かしています。
- 情景:赤くそまる空は、ゆいの心が前向きに動き出したことを重ねています。
- 主題:ゆいが、けんのさりげない思いやりにふれて、はずかしさから前向きな気持ちへ変わる話。
設問の形で、さがす場所が変わる
- 「〜のはなぜですか」→ 気持ちが動いた直前のきっかけ(だれかの言葉・出来事)をさがします。
- 「どのような気持ちですか」→ その場面の行動・表情・会話に印をつけ、気持ちを表す言葉に言いかえます。
- 「どのような人物ですか」→ 一つの場面ではなく、文章全体の行動の積み重ねから考えます。
- 「この情景はどんなことを表していますか」→ 情景の前後で、気持ちがどう変わったかをたしかめます。
心情を表す言葉をふやそう
選たくしや記述では、気持ちをぴったりの言葉で表す力が必要です。「うれしい」「悲しい」だけでなく、次のような言葉を使い分けましょう。
- ほっとする:心配ごとがなくなって安心する。
- 気まずい:相手との間がぎくしゃくして、居心地が悪い。
- もどかしい:思うようにいかず、じれったい。
- ほこらしい:自分や身近な人のことを、自まんに思う。
- 照れくさい:ほめられたりして、はずかしい。
- うしろめたい:悪いことをした気がして、心が落ち着かない。
- せつない:さびしさや悲しさで、むねがしめつけられる。
よくあるまちがい
- 自分の気持ちで答えてしまう:「わたしならくやしい」ではなく、本文の手がかりから答えます。答えの根きょを、本文の言葉で指させるようにしましょう。
- 一つの言葉だけで決めつける:「笑った」でも、うれしい笑いとはかぎりません。「さびしそうに笑った」「むりに笑った」など、前後と合わせて読みます。
- 情景を読みとばす:雨や夕焼けの一文は、ただの景色ではないことが多いです。気持ちが変わる場面の情景には、特に注意しましょう。
やってみよう
練習問題の物語を読み、気持ちが変わった一文に線を引いて、その直前の「きっかけ」に丸をつけてから答えを選ぼう。