「中1ギャップ」:国立教育政策研究所が確かめたことと、見ておきたいこと
「中1ギャップ」の真実(国立教育政策研究所)と学年別の不登校
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- 日本全国
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- 公的な資料
- 生徒指導リーフ Leaf.15「中1ギャップ」の真実(国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センター、2014年4月初版・2015年3月一部改訂)
「中1ギャップ」は、保護者がよく耳にする言葉です。小6から中1に上がるときに何かがうまくいかなくなり、いじめや不登校が急に増える、という考え方を指します。文部科学省の研究機関である国立教育政策研究所は、その根拠を検証し、『「中1ギャップ」の真実』と題したリーフレットにまとめました。冒頭の一文ははっきりしています。
「中1ギャップ」という語に明確な定義はなく、その前提となっている事実認識(いじめ・不登校の急増)も客観的事実とは言い切れない。
保護者にとってこれが大事なのは、このレッテルが見るべき時期を取り違えているからです。リーフレットによれば、中1で表に出てくることは、たいていそれより前に始まっています。
この言葉のもとになった数字
この言葉は、文部科学省が毎年行っている問題行動・不登校等の調査を学年別に見たところから生まれました。この調査は、年度内に30日以上欠席した子どもをすべて数え、病気、経済的理由、不登校、その他という理由別に分けています。文部科学省が公表している最新の全国の数字は、2024年度(令和6年度)のものです。
| 学年 | 不登校として数えられた子ども(令和6年度) |
|---|---|
| 小1 | 8,738 |
| 小2 | 14,125 |
| 小3 | 19,460 |
| 小4 | 25,322 |
| 小5 | 31,979 |
| 小6 | 38,080 |
| 中1 | 58,736 |
| 中2 | 77,066 |
| 中3 | 80,464 |
学年が上がるごとに人数は増え、小6から中1への増え方がいちばん大きくなっています。同じ学年の子どもたちを追うと、令和5年度の小6では36,588人だったのが、令和6年度の中1では58,736人になっています。小・中学校全体では353,970人と過去最多でしたが、文部科学省は増え方のペースは鈍ったとしています。
中1で欠席は本当に急増するのか
リーフレットの答えは、国立教育政策研究所自身による2012年の分析にもとづいて、「見かけほどではない」というものです。調査では、中1の不登校の生徒のうち小6でも不登校として数えられていたのは10人に3人ほどで、3倍に増えたように読めました。国立教育政策研究所は小学校時代をより広く数え直し、病気による欠席や保健室登校の日数も含めました。すると、中1の不登校の生徒の半数は、小4から小6のどこかの学年で、すでに30日分に相当する欠席がありました。75〜80%はよく休んでいました。これにもとづくと、増え方は1.3倍程度です。
増加率は 1.3 倍前後(= 100 ÷ 75)となり、必ずしも急増とは言えません。
言いかえると、小学校で欠席・遅刻・早退が目立たなかったのに、中1で急に学校に行かなくなった子どもは、中1の不登校全体の20〜25%ほどにすぎません。
中1でいじめは急増するのか
学校が認知したいじめの件数は、中1で増えます。しかし国立教育政策研究所が同じ学年の子どもたちを小4から中3まで6年間、12回の調査で追い、子ども自身に尋ねたところ、いじめられたと答えた割合は、中学校より小学校のほうが高くなっていました。リーフレットは、急増しているという印象は学校の件数から来ており、その件数が実態を表しているかは疑わしい、と結論づけています。
中学校への不安が原因なのか
中学校への不安から学校に行けなくなる、という考え方が広まり、中学校の先生が小6の教室を訪れて、中学校は怖くないと伝える取り組みも行われてきました。国立教育政策研究所は2010年2月にある県の小6の子ども全員を調査し、1年後の出席状況を確かめました。不安の得点が最も高かった子どもからは、新たな不登校は1人も出ませんでした。新たな不登校は不安の低い子どもからもほぼ同じくらい出ており、不安が中くらいの子どもからは多く出ていました。リーフレットはこの仮説を根拠に乏しいとし、小中の連携のための訪問は、何のために行うのかを見直すべきだとしています。
学校が把握していたこと
令和6年度の調査で、不登校として数えられた小・中学生について学校が最も多く記録していた事実は、学校生活に対してやる気が出ないという相談(30.1%)、生活リズムの不調に関する相談(25.0%)、不安・抑うつの相談(24.3%)、学業の不振や宿題の未提出が見られたこと(15.6%)でした。これらは学校が気づいたことであって原因ではなく、どれにもあてはまらない子どももいます。
お子さんにとっての意味
リーフレット自身の助言は、レッテルを使うのをやめ、実際に何が起きているのかを見ることです。
便利な用語を用いることで、目の前で起きている問題を理解した気になってはなりません。
また、ギャップを生むのも、それを埋められるのも学校の教職員だとしています。
ギャップを作りだしているのも、それを埋めることができるのも教職員
家庭にとって、リーフレットの数字が示す見ておくべき時期は、中1の最初の週ではなく、小4〜小6です。
いまできること
- 小4〜小6のうちは、欠席、遅刻、早退、保健室で過ごした日を簡単に記録しておきましょう。リーフレットは、不登校として記録された日だけでなく、これらすべてを数えています。
- 日数が積み重なってきたら、その年のうちに担任に相談してください。中学校まで待たないでください。
- 小6では、小学校がお子さんについて中学校に何を引き継ぐのかを小学校に聞き、中学校の説明会では、学区の小学校とどう連携しているのかを中学校に聞いてください。
- 中1では、最初の個人面談で、小学校が把握していたことを新しい担任に伝えてください。
- お子さんがすでに学校を休んでいるなら、子どもが学校に行かなくなったときと年齢別の睡眠と生活リズムを読んでください。
一般論ではなく、この子どもの日付
子どもと区を入れると、タイムラインが残りをやります。